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ドッグフードの選び方【腎臓病の子におすすめはある?】

管理人

ドッグフードって、腎臓病の子は何に気をつければ良いのかな?

知り合いの愛犬が、動物病院の健診で「腎臓の数値が悪い」って言われてしまったの。

獣医師G

腎臓病は特に高齢の犬に多い病気の一つで、検診で見つかることも珍しくないからね。腎臓病を悪化させないためには、薬や点滴よりも実はフードが一番大切なんだよ。

管理人

そうなんですね!じゃあ、腎臓が悪い場合にはどんなことに気を付けてフードを与えたらいいんですか?

獣医師G

まず、腎臓が悪い犬にたくさん与えない方がいい成分が3つあるんだよ。それが、たんぱく質・リン・塩分。これらの成分がたくさん入ったフードを食べてると、腎臓への負担が大きくなってしまって、どんどん腎不全が進んでしまう可能性があるんだ。

管理人

そっか、やっぱフードには気をつけなきゃいけませんね。逆に腎臓にいい成分はあるんですか?

獣医師G

腎臓にいいって言われているのが、抗炎症成分のω3脂肪酸だね。ω3脂肪酸は腎臓のダメージを防いでくれることがわかってるから、積極的に取っていきたいね。また、フードではないけれど、水分を多くとらせることも腎不全の悪化を防ぐためには大切だよ。

犬の平均寿命は年々伸び、15歳以上の超高齢犬も増えてきました。犬も人間と同じように加齢とともに腎臓の機能が弱ってくるため、腎臓病(慢性腎不全)は高齢の犬では非常によく見かける病気になっています。

腎臓は、体の老廃物を排泄する働きをする臓器ですので、その腎臓の機能が落ちてしまうと、体に老廃物が溜まってしまいます。体に老廃物が溜まると、気分も悪くなり体もだるくなってしまうため、愛犬のQOL(生活の質)が大きく低下してしまいます。

そんな怖い腎臓病ですが、腎臓病と上手く付き合うためには、薬や点滴よりもドッグフードが大切だと言われています。今回は、腎臓病の犬のドッグフードについて考えてみましょう。

腎臓の機能=老廃物の排泄

腎臓病のドッグフードを考える前に簡単に腎臓の機能を理解しておきましょう。腎臓にはいくつかの機能がありますが、最も大切なのが老廃物の排泄です。体は食餌からとった栄養分のうち、いらなくなった栄養素や、体に害となる物を体の外に排泄する必要があります。

肝臓で処理された一部の老廃物は胆のうから胆汁中へ、二酸化炭素などのガスは肺から呼気中へ排泄されますが、老廃物の大部分は腎臓から尿の中に排泄されて出ていきます。

腎臓の機能を見るための代表的な血液検査の項目に、BUN(血中尿素窒素)やCre(クレアチニン)があります。これらは本来腎臓から尿中へ排泄されるための老廃物です。もし、血液検査でBUNやCreなどの「腎臓の数値」が上がっていると言われた場合は、「腎臓の機能が弱って、本来尿中に排泄される老廃物が体の中にたまってきている」という意味だと思ってください。

腎臓病の犬で制限するべき3つの栄養成分

腎臓病の犬では、3つの成分を制限するといいと言われています。実際に以下の3つの成分を制限した腎臓食を食べた犬と食べていない犬では、以下のように寿命が大きく変わっていることがわかっています。

慢性腎不全の余命
一般食 腎不全フード
2000年の報告 264日 633日
2005年の報告 210日 480日

この表を見てもわかる通り、腎不全用のドッグフードを食べるだけで、余命が倍以上に伸びるんです。そんな腎不全用フードが制限している3つの栄養成分とその理由を見てみましょう。

たんぱく質の制限

たんぱく質は体に必要な栄養成分ですが、たんぱく質の老廃物は基本的に腎臓からしか排泄されません。たんぱく質を多くとればとるほど、体の中で作られたたんぱく質の老廃物が多くなるため、その排泄のために腎臓に無理をかけてしまうことになるんです。

たんぱく質を制限することで、体の中で作られる老廃物を減らして腎臓の負担を減らすことができます。基本的に腎不全用のドッグフードは、たんぱく質が制限されています。腎臓病と診断された場合は腎不全用のドッグフードを与えるとともに、たんぱく質の豊富なジャーキーなどのおやつも減らしておくことも大切ですよ。

リンの制限

リンは、普段あまり意識することのない栄養成分ですが、腎臓病にとっては良くない栄養成分の代表です。

リンもたんぱく質同様、腎臓から排泄される物質です。健康な状態であれば特に問題はありませんが、腎臓が悪くなると腎臓からのリンの排泄がうまく行かなくなり、体の中のリンの濃度が上がってきます。リンとカルシウムは体の中でバランスがとられていますので、リンが上昇すると、体は骨の中のカルシウムを血液の中に溶かしてカルシウム濃度をあげようとします。

そうなると、カルシウムが溶け出して骨がもろくなるだけでなく、血中カルシウム濃度が上がって、腎臓などにカルシウムが沈着し腎不全が進行しやすくなります。つまり、腎不全になるとリンの増加→カルシウムの増加→腎不全の悪化という負のスパイラルが起こってしまうのです。

そのため、リンを制限することも、腎臓病の悪化を防ぐためには大切です。腎不全用のドッグフードはリンを制限していますので、それを食べるとともに、リンが多く含まれる小魚や肉、卵、チーズなどはあまりたくさん与えないようにしましょう。

塩分の制限

腎不全が起こると、水分の排泄がうまく行なくなって、血圧が上がってしまいます。塩分をたくさん取ると体に水分をため込みやすくなるため、余計に血圧が上がってしまう原因となってしまいます。高血圧は腎不全を進行させる腎不全の大敵です。

そのため、腎臓病の犬では塩分の取りすぎもNGです。塩分を多く含むと嗜好性が上がるため、比較的安くて食いつきのいいドッグフードには塩分が豊富に含まれていることも多いです。1度、ドッグフードの塩分(ナトリウム)量をチェックしてみてください。腎不全の犬に食べさせるのであれば、ナトリウムが0.4%以下に押さえてあるフードがいいでしょう。

基本的に、犬の塩分必要量は人よりもかなり低いため、犬がヒトのご飯を食べると塩分過多になってしまうことが多いです。特に腎臓が悪い犬の場合は、ヒトのご飯やおやつを与えないようにしましょう。おやつを与える場合は、塩分をほとんど使っていないものに限定するようにしてくださいね。

腎臓病の犬に与えたい栄養素と水分

腎臓病の犬では3つの栄養成分を制限することが大切ですが、積極的に取らせたい成分が「ω(オメガ)3脂肪酸」と水分です。

ω3脂肪酸の補給

EPAやDHAなどの「ω3脂肪酸」は、炎症を抑える抗炎症物質として有名な成分です。ここ最近、腎臓病の進行に慢性的な腎臓の炎症が悪化要因として関わっていることがわかり、腎臓病の悪化防止にω3脂肪酸が推奨されるようになってきました。

ω3脂肪酸は魚油に多く含まれていますが、魚はタンパクやリンを多く含むため、魚でω3脂肪酸を取るのはあまりおすすめできません。最近ではω3脂肪酸添加フードや、ω3脂肪酸サプリメントも販売されているため、そういったものでω3脂肪酸を補給するようにしましょう。

水分を多くとらせる

腎不全の病態は、腎臓からの排泄が弱くなり老廃物が体にたまりやすくなることだとお話ししましたが、老廃物の排泄を助けてあげる方法として水分摂取量を増やして尿量を増やすことも大切です。

犬が自分で考えて水を飲む量を増やすことはありませんので、飼い主さんが工夫して水を飲む量を増やしてあげる必要があります。ドライフードを食べている場合は少しふやかしたり、水にフードを沈めて食べさせるといいでしょう。また、ドライフードよりウェットフードの方が水分摂取量は増えますので、普段のドッグフードをウェットフードに変えるのもいいでしょう。

牛乳はたくさん飲むことは腎臓にはよくありませんが、牛乳が好きな犬には、牛乳をかなり薄めた水を飲ませてあげるのも一つの方法ですね。

腎臓病とドッグフード まとめ

繰り返しになりますが、腎臓病を進行させないためには、フードの管理が最も大切です。慢性腎不全と診断されても、うまく付き合っていけば1年以上元気に生活できることも少なくありません。

愛犬が腎臓病と診断された場合は、しっかり愛犬のフードを見直し、できる限り腎臓に負担をかけない食生活をさせてあげましょう!

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