ドッグフードのビーグル用ってほんとに必要?獣医師が答えます

ビーグル用のドッグフードっていいのかな?ビーグルには、犬種専用フードが必要なんでしょうか?

毎日同じものを食べるわんちゃんだから、ドッグフード選びは悩むよね。でも、ビーグルだからビーグル専用フードが一番だということではないんだよ。

そうなんです、やっぱりせっかくフードをあげるんだから、一番いいものを与えたくて。。。じゃあ、ビーグル用のフードってどんな意味があるんですか?

ビーグル用のフードは、ビーグルの体質に合うよう、ビーグルに多い病気の予防ができるように考えられたフードなんだよ。ビーグルは皮膚や耳が弱い子が多いから、皮膚病になりにくいような成分を多く含んだりしているフードもあるね。

なるほど!じゃあやっぱりビーグル専用フードを与えた方がいいんじゃないですか?

うーん、専用フードは無難かもしれないけれど、専用フードというだけで選ぶというのは単純すぎるかもね。同じビーグルでも体質はそれぞれだし、体の弱い部分も違っているからね。例えば、ビーグル専用フードを食べていても、アレルギーを発症してしまうビーグルは珍しくないんだよ。

なるほど。ビーグル専用フードがすべてのビーグルに合うフードというわけでないんですね。

まさにその通りだね。犬種専用フードを選んでおけば大丈夫と勘違いしないで、しっかり愛犬の体質も考えてフードを選んであげることが大切だね。
従順で人懐こい性格と、見ていて飽きない活発さを持ち合わせるビーグルは、人気の中型犬種の代表です。比較的体が強く、健康なわんちゃんが多い犬種ではありますが、病気をしてしまうこともあります。
ビーグルの元気と健康の源はやはり健康的な食生活にありますが、どのようなフードを選んでいいのかわからない飼い主さんもいると思います。今回は、ビーグル専用フードやビーグルで注意しておきたいフードの特徴についてお話いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
ビーグルに与えるフードで気を付ける点とビーグル専用フードの特徴
まずは、ビーグル用のフードにはどのようなことを考えてあげたらいいのかを見て行きましょう。
太りにくい
ビーグルは、非常に食欲旺盛な犬種であり、最も食いしん坊な犬種の1つと言っても過言ではありません。いくら活発でエネルギー消費の活発なビーグルでも、それ以上に食べすぎてしまうと肥満になってしまいます。
現在、犬の肥満は
- 関節・骨・人体への負担
- 心不全や高血圧
- 皮膚や被毛の状態の悪化
- その他、肝臓や消化器の病気やがん
などのリスクを高めてしまうと言われています。
そこで、ビーグルに与えるフードは低カロリーであることが大切です。食物繊維の豊富な食事は低カロリーでも腹持ちが良く、食欲が旺盛なビーグルちゃんに満腹感を与えてくれます。ビーグルには、そのように考えられた太りにくい低カロリー食を与えるようにしましょう。
皮膚・被毛に優しい
ビーグルは皮膚や耳の病気が非常に多い犬種です。組織の構造としては、耳も皮膚も同じですので、耳の健康にも皮膚の健康にも、皮膚に優しいフードを与えてあげることが大切です。また、ビーグルには健康な子でも独特のビーグル臭が少しありますが、皮膚炎などがあって皮膚の状態が悪化すると、その匂いがきつくなってきます。
皮膚に優しいフードとしては、
- アレルギーのことを考えてある
- ω3脂肪酸(DHAやEPAなど)を含んでいる
- ビタミンBやEなどビタミン成分が強化してある
などといったフードがおすすめです。特に皮膚にかゆみや赤み、べたつきがある場合にはこれらのフードを与えてあげるとともに、シャンプーなどで皮膚コンディションを高めてあげるといいですね。
お腹に優しい
ビーグルの中には下痢をしやすい子も多いです。また、お腹の健康状態は皮膚の健康にも影響しますので、皮膚の健康のためにもお腹に優しいフードは大切です。
お腹に優しいフードは消化が良く、アレルギーを起こしにくいようなフードが理想です。また、お腹の環境を整えてくれるようなオリゴ糖や乳酸菌、ビール酵母などが含まれているフードもおすすめですね。
普段から便が柔らかい子は、動物病院でしっかり診察をしてもらうことも大切ですが、お腹に優しいフードを試してみてもいいでしょう。それでも治らない場合はアレルギーの検査や薬、サプリメントが必要になる可能性があります。
ビーグルに与えるフードにおすすめの特徴
目的 | 強化されている成分 |
肥満予防 | 高食物繊維、低脂肪、低カロリー |
皮膚・被毛の健康 | 低アレルギー、ω3脂肪酸(DHA・DPA)、ビタミンB/Eなど |
お腹に優しい | 消化がいい(低脂肪など)、整腸成分(オリゴ糖・乳酸菌・ビール酵母など) |
ビーグルの食餌量の目安とドッグフードのサイズ
ビーグルは個体によって骨格のサイズに非常に大きな幅があり、標準体重も6㎏~12㎏と、小さい子と大きな子では2倍くらいの差があります。フードの必要量は、そのフードに含まれるカロリーの量と犬の体重によって決まってきますので、以下の表を参考にしてみてください。
ビーグルの食餌量の目安(避妊/去勢済、健康な成犬)
体重 | 1日に必要なカロリー | 300kcal/100gのフード | 350kcal/100gのフード | ||
1日のフード | 1ヶ月のフード | 1日のフード | 1ヶ月のフード | ||
6kg | 429kcal | 143g | 4,290g | 123g | 3,690g |
8kg | 533kcal | 178g | 5,330g | 152g | 4,560g |
10kg | 630kcal | 210g | 6,300g | 180g | 5,400g |
12㎏ | 722kcal | 241g | 7,220g | 206g | 6,190g |
この表を参考にする場合は、現在の体重ではなく標準体重で考えるようにしてください。愛犬が肥満や痩せ型の場合は、BCS(ボディコンディションスコア)などの表を参考にし、標準体重を考えたてこの表を当てはめてるようにしてくださいね。
ビーグルに買うべきフードのサイズ
次に、どらくらいのサイズのフードを買ったらいいのかを考えてみましょう。
ドッグフードは、消費期限内でも1度開封すると、空気中の酸素と反応する「酸化」によってどんどん劣化してしまいます。酸化による劣化が起こると、成分が変化したり、味や風味が落ちてしまいます。そうなると、せっかく質のいいフードを与えていたとしても、フード本来の良さを出すことができなくなってしまいます。
そこで、ドッグフードを選ぶ場合は長くても1か月で使い切れるように考えて選んでおきましょう。この表に照らし合わせてみてみると、6㎏程度の小さいビーグルには3㎏以下のサイズを、10㎏を超えるような大きめの子でも5㎏以下のサイズを選んでおいた方がいいですね。大きいフードは割安になりますが、質が落ちてしまうため、使い切るのに1カ月以上かかってしまうようなサイズのフードはおすすめできませんね。
ビーグル専用にこだわらず愛犬の体質に合ったドッグフードを選ぼう
ビーグルのためのフード選びのポイントは理解できましたか?ビーグル専用フードを与えるのも悪くはありませんが、犬種専用フードを食べさせている飼い主さんは、それだけで満足せず、以下のような点に注意をしてください。
- ビーグル専用フードを食べていても、肥満になってしまう子も多い
- ビーグル専用フードが体質に合わずに、皮膚病が出たり、下痢をしてしまう子もいる
- ビーグル専用フードですべての病気をカバーできるわけでない
- ビーグルに必要な栄養素を、しっかり含んでいる(AAFCO基準を満たすなど)
- フードの量をしっかり考え、おやつの量にも注意する
- 皮膚やお腹が弱い子では、フードの種類をもう一度考え直す
- フードですべての病気の予防や改善ができるわけではないので、体調で気になることがある場合は早めに動物病院で相談する

ビーグル専用フードがあるならそれを与えておくというだけでは、愛犬の健康は守れません。ビーグルに与えるフード選びで気を付けることをしっかり理解したうえで、愛犬の体質に合うフードを選び、過不足なく与えられるようにしておきましょう。
この記事を参考に愛犬に合うベストなドッグフードを選んであげてくださいね!