ミニピンのドッグフードはいらない!?獣医師がすべて解説!

ミニチュアピンシャー用のドッグフードは必要なのかな?
ミニチュアピンシャーを飼っている知り合いが、ミニピン専用フードがなくて困っているの。ミニピン専用フードがない場合って、どんなフードをあげたらいいんですか?

ミニピンの愛好家はとっても多いけれど、今のところ犬種専用フードは販売されていないみたいだね。でも、そもそも犬種専用フードが一番ってことじゃないから、それがなくても最適なフードを選びは問題なくできるんだよ!

そうなんですね!じゃあ、ミニピンには具体的にどんなフードを選んであげたらいいですか?

まず、大型犬と小型犬では必要な栄養素が違うから、小型犬用フードを選んであげることは絶対に必要だね。それからミニピンには皮膚の病気や関節の病気も多いから、皮膚や関節のことを考えたフードがおすすめかな。ω脂肪酸やグルコサミンが強化されていたり、太らないように考えられたフードがいいかもしれないね。

なるほど、じゃあそういったフードを探して、それを与えておけば大丈夫ですね!

それだけで安心していると良くないよ。ミニピンの子がみんな同じ病気を発症したり、体質が同じなんてことはないんだから、愛犬の体調をしっかり見ながらフードが合っているのか選んであげて欲しいんだ。動物病院で肝臓が弱いと言われてしまったら、肝臓に優しい良質なタンパクを含んだフードを与えた方がいいし、食べているフードでアレルギーを起こしてしまうようであれば、アレルギーを起こさないフードに変えないといけないしね。

そうなんですね。なかなかフード選びは単純じゃないですね。

そうだね。大切なのは、ミニピンの特性を知ったうえで、愛犬の体質を理解して一番合うフードを与えてあげることだよ。そのためのポイントを詳しく見てみよう!
小さい体で元気にぴょんぴょん飛び跳ねる姿と、ドーベルマンのような精悍な顔つきのギャップで人気の高いミニチュアピンシャーですが、その元気な姿とは裏腹に意外と病気の多い犬種です。つやつや光る美しい被毛は脱毛や炎症を起こしやすかったり、細い脚に負担がかかると関節や骨に悪影響を引き起こすことがあります。
そんなミニピンの健康のために大切なのがフード選びです。適切なフードを与えることでミニピンの病気が予防できたり、元気で長生きさせてあげることも可能になります。今回は、ミニピンのフード選びについて考えてみましょう。
もくじ
ミニピンのフード選びの4つのポイント
ミニピンのフード選びで大切なのは以下の4つのポイントになります。しっかり押さえておきましょう。
カロリーが低い
ミニピンは本来、細身の体型をしており、それに合わせて手足も非常に細くなっています。活発に走り回り代謝の高いミニチュアピンシャーですが、その分食欲も旺盛であり、好奇心も強いため、おやつや人のご飯などをおねだりする子が多いです。
いくら元気で代謝の高いミニピンでも、フードやおやつを食べすぎるとカロリーオーバーとなり太ってしまう子が多いです。肥満になると、関節に負担がかかり、びっこや関節の痛みが出てしまう子もいます。また、ミニピンは糖尿病も発症しやすく、肥満になるとそのリスクはさらに高くなります。
そこで、ミニピン用のフードは、太らせないようカロリーが低めのフードがおすすめです。食欲旺盛なミニピンでは、フード量の制限が難しいことも多いため、満腹感を感じさせてくれる高繊維食などもおすすめですね。
関節に優しい
ミニピンには膝蓋骨脱臼や大腿骨頭壊死(レッグペルテス)、椎間板ヘルニアなどの関節の病気が多く発生します。関節の病気の予防には太らせないことも大切ですが、積極的に関節に良い成分を取っていくことも大切です。
関節の病気の予防のためには、関節軟骨を保護する成分が有効です。そこでグルコサミンやコンドロイチンなどを積極的にとることがすすめられています。また、炎症を抑えて関節炎を防ぐω3脂肪酸(DHAやEPAなど)も関節の弱い子には積極的に取ってほしい成分です。
皮膚に優しい
ミニピンは短毛種の代表犬種であり、本来は密に生えた艶のある美しい短毛をしています。ただし、短毛種では皮膚の乾燥や感染が起こりやすく、また脱毛が非常に目立つという特性があります。
皮膚や被毛の健康を保つためには、アレルギーを起こしにくいようなフードやビタミンBやEを多く含むフード、ω脂肪酸が強化してあるフードなどがすすめです。また、皮膚が弱い子の場合には、シャンプーや保湿スプレーなどをうまく使ったり、サプリメントを併用することも大切になりますので、フード以外にも考えてあげましょう。
筋肉を維持する
活発で運動量の多いミニピンでは、その筋肉を維持してあげることが、生活の質の向上や病気の予防に大切です。筋肉量が減ってしまうとその分関節や骨に負担がかかったり、代謝が落ちて太りやすくなったり、糖尿病を発症しやすくなるなどの弊害が出てきてしまいます。
筋肉を維持してあげるためには、毎日定期的な散歩などの運動と、良質なタンパクを含むフードを与えてあげることが大切です。また、関節の痛みがあると運動量が知らず知らずのうちに落ちてしまい、筋肉も落ちてしまいます。定期的に病院を受診して、関節の状態や筋肉量などのチェックをしてもらうのもいいかもしれませんね!
ミニチュアピンシャーに与えるフードで気を付ける点のまとめ
目的 | 強化されている成分 |
カロリーが低い | 低脂肪・高食物繊維 |
関節に優しい | コンドロイチン、グルコサミン、ω脂肪酸(DHA・EPA)など |
皮膚に優しい | ω3脂肪酸(EPA・DHA)、ビタミンB/Eなど |
筋肉の維持 | 高たんぱく食、高品質のたんぱく・アミノ酸 |
ミニチュアピンシャーの食餌量の目安とドッグフードのサイズ
ミニチュアピンシャーは犬種間での大きさに個体差が少ない犬種であり、標準体型では3.5~5㎏くらいになることが多いです。時々7㎏を超えるようなミニピンを見ることがありますが、その多くは太り過ぎになります。
以下の表は、体重ごとのミニピンの必要カロリーとフード量の目安になります。この表の体重は、現在の体重ではなく標準体型であった場合の体重です。現在、愛犬が太り過ぎている場合や痩せ型の場合は、標準体重を推定して、その体重を基に表を見るようにしてください。愛犬が痩せているのか太っているのかはBCS(ボディコンディションスコア)を参考にしてもらうとわかりやすくなります。
ミニチュアピンシャーの食餌量の目安(避妊/去勢済、健康な成犬)
体重 | 1日に必要なカロリー | 300kcal/100gのフード | 350kcal/100gのフード | ||
1日のフード | 1ヶ月のフード | 1日のフード | 1ヶ月のフード | ||
3.5kg | 287kcal | 96g | 2,870g | 82g | 2,460g |
4kg | 317kcal | 106g | 3,170g | 91g | 2,720g |
4.5kg | 346kcal | 115g | 3,460g | 99g | 2,970g |
5kg | 374kcal | 125g | 3,740g | 107g | 3,210g |
この表に載せたフードの量はあくまでも目安になります。同じ量を食べていても体重が増える子、減る子がいますので、体重の増減を見ながら調節してあげてください。
また、この量は避妊/去勢手術済みの健康な若い成犬の目安です。高齢の子ではこの量よりも少なめ、避妊/去勢をしていない子ではこれより少し多めが必要になることが多いので注意してあげて下さいね。
ミニチュアピンシャーのドッグフードサイズ
では次に、ミニピンにはどれくらいの大きさのフードを買ったらいいのかを考えてみましょう。
ドッグフードには消費期限が書いてありますが、あくまで未開封の時にどれくらい持つかという期限です。ドッグフードを開封すると空気中の酸素により「酸化」が進んで品質はどんどん低下してしまいます。酸化による品質低下があると、成分が変化してしまい、せっかく高品質のフードを買っていてもその品質が悪化してしまったり、風味や味が落ちてしまいます。
そのため、ドッグフードは開封後1か月以内に消費するようにしましょう。上の表を見ると、ミニチュアピンシャーが食べるフード量は2~4㎏程度になります。できる限り2~3㎏以下のサイズのフードを選ぶようにして下さいね。
ミニチュアピンシャーには愛犬の体質に合ったドッグフードを選ぼう
以上のような点に注意をすれば、ミニピン専用フードがなくてもミニピンの子に最適なフードを選んであげることは十分可能です。
- ミニピンに必要な栄養バランスがしっかり取れている(AAFCO基準を満たすなど)
- 関節や内臓の健康を保つため、食餌量には注意をし、しっかり体重管理を行う
- 皮膚が弱い子では、フード選びも大切だが、シャンプーやサプリメントの使用も考える
- 愛犬の体調をしっかりチェックし、今のフードが愛犬に合っているのかを見極める

ミニチュアピンシャーのドッグフード選びのポイントはわかりましたか?ミニピン専用フードがなくても、ポイントを押さえておけばフード選びはそれほど難しくありません。
この記事を参考に、愛犬にベストなフードを選んであげてくださいね!